生活習慣病とは

生活習慣病は、栄養バランスの偏り、運動不足、喫煙、過度の飲酒やストレスといった日頃の不健全な生活習慣によって引き起こされる病気です。
生活習慣病の代表的なものには、糖尿病・高脂血症・高血圧などがあり、更にこれらの発症を決める共通の環境因子として、肥満が重要な要因となっています。 肥満は、糖尿病、高脂血症、高血圧の発症を促進し、悪化させます。逆に体重の適切なコントロールは、これらの発症を予防し、進行を遅くすることができます。

肥満について

あなたの肥満度はどれくらい?

肥満の判定は、身長と体重から計算されるBMIという数値で行われています。
これはBody Mass Index(肥満指数)の略で、つぎの計算式で計算できます。

生活習慣病

日本肥満学会が決めた判定基準では、統計的にもっとも病気にかかりにくいBM122を標準とし、25以上を肥満として、肥満度を4つの段階に分けています。

BMI
低体重(やせ) 18.5未満
普通体重 18.5以上 25未満
肥満(1度) 25以上 30未満
肥満(2度) 30以上 35未満
肥満(3度) 35以上 40未満
肥満(4度) 40以上

肥満の原因

肥満の原因には次のようなことが挙げられます。あなたの肥満の原因をつきとめましょう。

  1. 摂取カロリー量の過多
  2. 早食い、ながら食い、つまみ食い、まとめ食いなどの食べ方
  3. 夜遅い時間になってからの食事
  4. アルコールやお菓子の食べすぎ
  5. 高カロリーな外食の回数が多い
  6. 運動不足
  7. 体質や遺伝
肥満は病気ですか?

上記の表のとおり、BM125以上は肥満と判定されます。
ただし、高血圧や高脂血症、糖尿病な どを伴っていなければ特に病気とはいえません。BM122前後ですと肥満に強く関連する高血圧、高脂血症、糖尿病などにかかりにくいことから、その数値を標準と定めています。25以上になると、前述のような病気に大変かかりやすくなりますので、BM125の方は、血圧や血中コレステロール、血糖値などに異常が見られなくても十分に注意する必要があります。

減量の基本

肥満の解消が、生活習慣病から身体を守ることにつながります。

  1. 摂るカロリーより消費するカロリーを多くすれば、その分だけ体重を減らすことができます。
  2. 運動不足が原因といっても、運動だけで体重を減らすことは至難のワザです。食事のバランスを摂りながら、毎日少しずつでも運動を続けていくことが大切です。
  3. 睡眠を充分にとる、ストレス解消を心がける、飲酒の回数を控えるなど、普段の生活習慣の見直しを行いましょう。

糖尿病について

生活習慣病の患者さんは、高血圧症が約3300万人、高脂血症が約2000万人、糖尿病が約700万人と推定されています。中でも糖尿病は、目の網膜や腎臓の病変によって失明や尿毒症などの合併症を発症する怖い病気です。
糖尿病は膵臓から出る「インスリン」というホルモンの作用が不足となって起こります。

血糖値とは

糖尿病は、血液中の血糖値が高くなる病気のことをいいます。
私たちが食事から摂取したごはんやパンなどの糖質は、体内で消化されて最後にブドウ糖に分解されます。ブドウ糖は、からだを動かすエネルギー源で、血液の 流れに乗ってからだの各細胞に運ばれ、筋肉や臓器で使われます。血糖値というのは、血液中にそのブドウ糖がどのくらいあるかを示しています。

インスリンとは

インスリンは、からだの中で唯一血糖を下げるホルモンです。人間は大昔から飢餓と戦ってきた歴史があるために、血糖を上げるホルモンは 幾つかありますが、反対に血糖を下げるホルモンはインスリンだけです。インスリンは食後の血糖が上がらないように調節するはたらきを持っています。また、 血液中のブドウ糖を からだの細胞に送り込み活動エネルギーに変えたり、脂肪やグリコーゲンに変えて、エネルギーとして蓄えるなどの働きもあります。だから、インスリンが不足 すると、それらの調節がうまくいかなくなり、血中からブドウ糖が細胞に取り込まれなくなることで、全身のエネルギー不足を引き起こします。
さらに、脳はブドウ糖のみを栄養分として働きますので、ブドウ糖が脳に行き届かないと頭がボゥとして意識障害を起こし、危険な状態になることもあります。

糖尿病の症状

初期には特に自覚症状は見られません。自覚症状がでるのは、症状がかなり悪化してからのことです。

  • のどが異常に乾き、水分摂取量が極端に増える
  • だるさ、倦怠感
  • 目のかすみ
  • 手足のしびれ
  • むくみ など

糖尿病のタイプ

1型糖尿病

膵臓のβ細胞という、インスリンを作る細胞が破壊され、からだの中のインスリンの量が不足して起こります。
子供のうちから始まることが多く、以前は小児糖尿病や、インスリン依存型糖尿病と呼ばれていました。

2型糖尿病

インスリンの出る量が少なくなって起こるものと、肝臓や筋肉などの細胞がインスリン作用をあまり感じなくなる(インスリンの働きが悪い)ために、ブドウ糖がうまく取り入れられなくなって起こるものがあります。食事や運動などの生活習慣が関係している場合が多く、わが国の糖尿病の95%以上はこのタイプです。

糖尿病の検査

糖尿病の検査には次のようなものがあります。

  • ふだんの血糖値を測る
  • 朝、何も食べていないときの血糖値を測る
  • ブドウ糖を飲んだ後の血糖値を測る

糖尿病の治療

糖尿病の治療は、血糖値や初診時の合併症、肥満の程度を総合的に判断し、食事療法・運動療法・薬物療法治療を必要に応じて組み合わせて行います。特に食事療法は、糖尿病を治療するうえでの基本となります。また、運動療法を併せて行うことで食事療法との相乗効果を充分に得ることができます。これらは、毎日きちんと行われて初めて効果が実現できます。
なお、薬物療法は、食事や運動だけでは不十分な場合、血糖をコントロールし合併症の進行を予防するために行います。食事療法や運動療法で血糖を充分にコントロールできる場合は、基本的に薬物療法は行いません。

3大合併症

糖尿病網膜症

網膜の血管がボロボロになって出血やむくみが出現することを網膜症といいます。視力が弱まり、中には失明する場合も出てきます。レンズが濁って見えにくくなる白内障は糖尿病の方に多い病気です。

尿病神経障害

合併症の中で最も早く出てくる障害です。手足の知覚神経の具合が悪くなり、 手足のしびれや痛みが起こります。そのほか、筋肉の萎縮、筋力の低下や胃腸の不調、立ちくらみ、発汗異常、インポテンツなど、さまざ まな自律神経障害の症状も現れます。

糖尿病腎症

腎臓の糸球体という部分の毛細血管が悪くなり、腎臓が体のなかの老廃物を尿中 にろ過して排出する能力が低下し、尿中にたんぱく質がもれ出るようになります。これを腎症といいますが、障害が進行すると老廃物が体内に溜まって尿毒症や ネフローゼを引き起こします。
その場合は、機械で血液の不要な成分をろ過する人工透析を必要とします。定期的に病院で透析を受けなくてはならないので、日常生活に 大きな影響を及ぼします。現在、人工透析になる原因の1位がこの糖尿病腎症です。